戦国の世に咲いた城 「名城を訪ねて歴史を辿る」


戦国の世に咲いた城 「名城を訪ねて歴史を辿る」

火天の城

火天の城 2009年に公開された「火天の城」という映画をご存知だろうか。
1576年、戦国時代を舞台に織田信長の居城となる「安土城」を、一介の宮大工が安土山全域に築き上げていくというストーリーになっている。
宮大工の名は岡部又右衛門。又右衛門は、尾張(愛知)熱田神宮の宮大工を務めていた。そこに信長が訪ねて来たことから物語は始まる。
宮大工とは、神社仏閣(神社、寺、寺に関係する建物)の建築や補修を行う大工のことである。火天の城を観ても分かるように、430年以上の技術とは思えないほど精密で、計算しつくされた設計を用い城造りに取り掛かっている。
また、築城に至るまで様々な人間模様や背景があり、一つの城を築き上げるまでいかに尽力するかが伝わってくる。「安土城」に限らず、全国各地に点在している城にも色々な歴史や物語が存在している。武将の歴史と合わせて見ると、より一層に物語が膨らんでくる。

本丸とか、天守閣とか

本丸とか、天守閣とか 城を巡るにあたって必ず出てくる言葉が「本丸」や「天守閣」といった専門的な用語である。まず、本丸とは何か、それからご説明したいと思う。
簡単に言ってしまえば「お城の中心」ということになる。「本丸御殿」などと言ったりもする。それに続き「二の丸」は本丸に対して予備の城となる。「三の丸」までいくと、倉庫や重臣(偉い家来)の屋敷、役所や別邸などに使用されていたとされる。
例えば、一つの庭に3軒の家が建っていたとする。1つめに殿様が住む3階建ての立派な家がある。これが本丸であり、次に少し目立った2階建ての家がある。これが重臣の住まいであり二の丸である。3つめの平屋には食料や資料などが保管されており倉庫代わりに使われているから三の丸というわけだ。

いろんな視点から楽しむざっくりと言ってしまったが、このように城とはいくつかの建物が同じ敷地内に集約して作られていることが多い。二の丸、三の丸以外にも「櫓(やぐら)」と言われる武器を保管するために用いられた建物も存在する。「矢」を収める「倉」から由来しており、「矢倉」とも言われる。
そして「天守閣」だが、これは本丸に備え付けられている櫓のことを言う。「天守」や「天主」とも呼ばれたりするのだが、要するに城の一部として付け足された櫓ということになる。また、これに限らず天守だけが敷地内の別の場所に建てられていることもある。しかし、櫓といっても通常の倉庫とは違い、主に城主の指揮所として重要な役割を果たしていた場所が「天守」である。

いろんな視点から楽しむ

いろんな視点から楽しむ 一言で城といっても姿格好は様々で、また原型を留めず城跡だけが残っていて史跡となっている場所もある。
国宝に指定されている城や現存している天守閣など、見どころ満載で必ずと言っていいほど歴史の表舞台となっている。合戦地になった城や幻となってしまった名城など、次から次へと興味深いものばかりである。
立派にそびえ立つ城も見逃せないのだが、建物自体が無くても城があったとされる城跡を散策すれば、そのスケールの大きさに圧倒されてしまうことだろう。
有名な城から隠れた名城まで、出来ることなら全てを網羅したいところだが、今回は「現存している天守閣」と「地域別に分けた名城」を厳選して、いくつかご紹介させていただきたいと思う。戦国武将の史跡巡りに合わせて少し寄り道してみるのも良いかもしれない。