天地創造 歴史と共に語り継がれる【日本三大名城】


天地創造 歴史と共に語り継がれる【日本三大名城】

設計者に恵まれた名城

設計者に恵まれた名城 江戸時代初期、城造りの名手と言われた加藤清正、藤堂高虎という2人の人物がいた。と同時に、乱世の世を駆け抜けた戦の将でもある。
かと言って、城を建てたから築城主として名が残されるわけではない。有名な城を例にあげれば、「名古屋城」の築城主は徳川家康であるが、城を築く際に普請奉行(土木工事を管理する役人)を務めたのが加藤清正で、縄張設計(城を建てる区間を設計、管理する)には藤堂高虎が抜擢された。
築城の名手といっても直接城を建てるわけではなく、性能、利点、合理性や欠点の克服など、あらゆる視点から物事を見て城造りに携わる職人などを管理しながら建造物を築き上げていくのである。
加藤清正は石垣の反りを重視するのに対して、藤堂高虎は石垣を高く積み上げる事と堀の設計に特徴があったという。

築城の名手が残した三大名城

築城の名手が残した三大名城(藤堂高虎の画像) 藤堂高虎が生涯で築城に関わった城は18にも及び、その中でも宇和島城、今治城、篠山城、駿府城、伏見城、二条城、名古屋城などが有名である。
加藤清正に関しては熊本城があまりに有名で、清正が築城に関係した城が霞んでしまいがちであるが、江戸城や名古屋城などは両者とも築城に携わっている。また、清正の築城をあげるとすれば、大阪城なども有名である。
築城には「縄張り」といって城造りの基本設計(現在の設計士)を受け持つ役人と、「普請」といって堀を掘削したり土塁を築いたり、石垣を築く作業を担当する土木工事を管理する役人が必要となる。そして「作事」が櫓、御殿、天守などの建物を造り、建築工事を受け持つこととなる。
主に清正は普請と縄張りを受け持ち、高虎に関して言えば、縄張りを得意としていたことがわかっている。
※築城技術から抜粋した三大名城:名古屋城・大阪城・熊本城

三名城を抜粋した「五つの名城」

三名城を抜粋した「五名城」 三名城といってもその定義は定かでなく時代や条件によって選定が異なってくる。それでも毎回と言っていいほど多様なジャンルで上位に名を連ねる名城が五つ存在する。
例えば、「城郭の規模で選定した三名城」では、江戸城、名古屋城、大阪城が上位にあげられる。また、日本名城百選から抜粋された「上位三城」には、大阪城、熊本城、江戸城が君臨している。
その他にも、「江戸時代の天守を象徴する三名城」には、名古屋城、姫路城、熊本城が名を刻んでいる。これらを統計すると、名城を3つに絞るのが難しくなってくる。
そこで、5つの名城をピックアップしてご紹介させていただきたいと思う。どれも有名な城ばかりで誰もが一度は聞いたことがあるものばかりだが、視点や角度を変えて向き合えば歴史の狭間で生き抜いてきた生き証人であることがお分かりになるであろう。
伊達に観光スポットや名所として称されているだけの城ではないということである。

名古屋城[1612年築城]
名古屋城[1612年築城]
住所:愛知県名古屋市中区本丸1−1
お問合せ先:052-231-1700(総合事務所まで)

主な城主:徳川家
[見どころ]それまで清洲が尾張(愛知)の中心であっったが1610年に名古屋へと首都を移し(清須越し)、豊臣秀頼(豊臣家2代目)との衝突に備えて築城した城である。
清洲城の天守を移し築かれた「清洲櫓」が名古屋城の御深井丸エリア西北隅に現存している。

大阪城[1583年豊臣築城1620年徳川再建]
大阪城[1583年豊臣築城1620年徳川再建]
住所:大阪市中央区大阪城1-1
お問合せ先:06-6941-3044(案内係まで)

主な城主:羽柴(豊臣)秀吉・徳川秀忠
[見どころ]1583年、豊臣秀吉が天下統一の拠点として本願寺跡に築いた城である。
金色に輝き豪華爛漫に装飾された風格は天下人の権威を世に知らしめるためだったと言われている。1614年、冬の陣により本丸以外の建物は壊され、翌年の夏の陣では豊臣家滅亡へと繋がっていく。

熊本城[1607年築城]
熊本城[1607年築城]
住所:熊本県熊本市中央区本丸1-1
お問合せ先:096-352-5900(総合事務所まで)

主な城主:加藤家・細川家
[見どころ]自然の地形を利用した設計と、築城者である加藤清正を象徴する急な斜面が特徴的な石垣は圧巻である。
西南戦争で主要な建造物が焼失したが、その危機を回避した13棟が国の重要文化財に指定されている。

■旧江戸城[1457年築城]
旧江戸城[1457年築城]
住所:東京都千代田区千代田1
お問合せ先:03-3213-1111(管理事務所まで)

主な城主:本田家・上杉家・北条家・徳川家
[見どころ]城郭には将軍の居館や政務を行う御殿などが併設されており、江戸(徳川)幕府の中枢であった。本丸、二の丸、三の丸があった場所は皇居東御苑として整備されており、苑内には展望台や富士見櫓、多聞などの遺跡が残されている。

姫路城[1601年築城]
姫路城[1601年築城]
住所:兵庫県姫路市本町68
お問合せ先:079-285-1146(管理事務所まで)

主な城主:池田家・本多家・松平家・榊原家・酒井家
[見どころ]400年の歴史の中で、戦災や天災などの被害に遭遇することもなく保存状態が極めて素晴らしい城である。また、珍しい遺構も多数現存していることから、1993年には世界遺産に認定されている。
白鷺(しらさぎ)が飛ぶ姿を連想させるため、別名を「白鷺城」ともいう。外観も白亜で装飾され、まさに白鷺のようである。